― 歯と糖尿病の、驚くほど深い関係 ―
江東区で歯周病治療や全身との関わりを重視する歯科医院として、今回は**「歯周病と糖尿病の相互関係」**についてお話しします。
これは単なる“口の中の話”ではありません。医学的エビデンスに裏付けられた重要なテーマです。
実はこの2つの病気は、互いに悪影響を与え合う関係にあります。
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糖尿病があると、免疫力の低下や血流障害により、歯周病が進行しやすくなります。
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逆に、歯周病の炎症によって放出される物質(サイトカイン等)が、インスリンの働きを邪魔し、血糖値のコントロールを悪化させるのです。
この双方向の関係性は、**日本歯周病学会が2023年に発行した『糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン第3版』**でも明記されています。
また東京医科歯科大学の岩田隆紀教授らの研究グループは、2024年に発表した論文で、2型糖尿病患者が集中的な治療を受け、血糖値の指標であるHbA1cが改善すると、歯周病の炎症や歯周ポケットの状態が有意に改善することを報告しています(Iwata et al., Journal of Clinical Periodontology, 2024)。
実際に、血糖コントロールが改善した例も
多くの臨床研究で、歯周病治療後に血糖値(HbA1c)が有意に改善したという結果が報告されています。
たとえば、日本歯周病学会がガイドライン内で紹介しているメタアナリシスでは、
非外科的な歯周基本治療を受けた糖尿病患者において、HbA1cが平均0.4%改善したとされています。
この改善幅は、糖尿病の飲み薬1剤分に匹敵する効果とも言われています。
✅ CQ1:糖尿病患者は歯周病に罹患しやすいか?✅ CQ2:糖尿病患者に対する歯周治療に抗菌療法を併用すべきか?
など、歯周治療が血糖値にもたらす影響は、明確な臨床課題として扱われています。
江東区でも広げたい「口と全身をつなぐ歯科医療」
日本でも高齢化が進み、糖尿病を抱える方の割合はますます増加しています。
そして、糖尿病患者の約8割が歯周病を併発していると言われています。
歯科でのケアが全身の病気のコントロールにも関わることは、まだあまり知られていません。
江東区の皆さまにも、ぜひ知っていただきたいと願っています。
「歯医者でできること」が、思った以上に多い
糖尿病の方は以下のような症状があれば、特に注意が必要です。
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歯ぐきが腫れている・出血しやすい
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歯が浮く感じがする
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口の中がネバつく、口臭が気になる
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歯を磨くと血が出る
これはすべて、歯周病が進行しているサインです。
定期的な歯科検診と、適切な歯周治療を行うことで、血糖値の安定と生活の質(QOL)向上が期待できます。
最後に:歯ぐきの健康は、全身の健康の入口
歯周病は、沈黙の病気とも言われ、症状が出た時にはかなり進行していることも少なくありません。
でも、逆に言えば、早めに治療すればコントロールできる病気でもあります。
そして、その治療が糖尿病という生活習慣病のコントロールにも貢献することがわかっています。
江東区で、糖尿病とお付き合いされている方。
「歯ぐきのことまで考えていなかった…」という方も、ぜひ一度お口のチェックにいらしてください。
当院では科学的な根拠に基づいて定期的なクリーニングで歯周病菌を減らし、炎症を抑えることで、血糖値の安定化をサポートします。また、江東区で生活する患者さんのライフスタイルや健康状態に合わせた個別ケアを行うことで、全身の健康向上を目指します。歯周病治療を通じて、江東区の糖尿病患者さんがより健康的な生活を送れるよう、当院は全力で取り組んでいます。
【参考資料】
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特定非営利活動法人 日本歯周病学会:
『糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン 第3版』(2023年発刊) -
D’Aiuto F. et al., “Periodontitis and systemic inflammation: control of gingivitis improves serum inflammatory markers” (2004)
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Sgolastra F. et al., “Effectiveness of Periodontal Treatment to Improve Metabolic Control in Patients with Type 2 Diabetes: A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials” (2013)