皆様こんにちは。江東区・砂町北歯科の院長、下田です。
今日はあいにくの空模様ですが、お変わりなくお過ごしでしょうか?こうした天気の日は、なんとなく気分がどんよりしがちですが、そんなときこそお口のケアについて一緒に見直してみませんか。
今回は「口臭の原因とその対策」について、科学的な視点も交えてわかりやすくご説明いたします。
「最近、家族やパートナーの口臭が気になる」「自分の口のにおい、大丈夫かな?」そんな不安を感じたことのある方も多いかと思います。この記事を通じて、口臭に対する正しい知識と対処法を知っていただき、少しでも安心して日々を過ごしていただけたら幸いです。
目次
1. 口臭は誰にでもある?
「口臭=不潔、病気」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は健康な方でも一時的に口臭が強くなることはよくあります。
例えば以下のような状況では、一時的に口臭が強くなることがあります。
- 朝起きた直後(唾液の分泌が減り、口が乾燥)
- 空腹時や疲れているとき(体内でケトン体が増えるため)
- 緊張時(唾液が出にくくなる)
- にんにく、アルコール、タバコなどの摂取後
こうした口臭は「生理的口臭」と呼ばれ、適切なケアで十分に改善が可能です。
口腔清掃の徹底
- 就寝前・起床後の丁寧な歯磨き
- 歯と歯の間は、デンタルフロスや歯間ブラシでケア
- 舌苔(ぜったい)の除去:専用の舌ブラシで、朝1回やさしく清掃(力を入れすぎないことが大切です)
唾液の分泌を促す
- しっかり噛んで食べる(ガムやキシリトールタブレットもおすすめ)
- 食感のバリエーションを意識し、よく咀嚼する習慣を
- 水分補給:喉が渇く前にこまめに水を飲みましょう
生活習慣の見直し
- 十分な睡眠とストレスケア
- 脂っこい食事やにんにくなどの摂取を控えめに
- 禁煙を意識(タールやニコチンは強い臭いの原因になります)
定期的な歯科検診
- 歯石・歯垢の蓄積を防ぐため、3〜6ヶ月ごとのメンテナンスが理想です
2. 口臭の種類とその原因
2-1. 生理的口臭
先ほどご紹介したように、体調や環境によって一時的に起こる自然な口臭です。誰にでも起こりうるため、過剰に心配せず、日々のケアを大切にしましょう。
2-2. 病的口臭(詳しく解説)
一方で、常に強い口臭が続く場合は、歯や身体の病気が隠れていることもあります。原因はさまざまですが、大きく以下のように分類できます。
① 歯科的な原因
- 歯周病(8割近くの日本人が罹患していると言われています)
- 舌苔(細菌や食べかすの蓄積)
- むし歯や神経が死んだ歯
- 汚れた入れ歯(義歯)
- 壊死性潰瘍性歯肉炎などの粘膜疾患
② 耳鼻咽喉科的な原因
- 副鼻腔炎や後鼻漏
- 扁桃腺にできる膿栓(いわゆる「臭い玉」)
- 口呼吸による乾燥
- のどの炎症や腫瘍
③ 内科的・全身的な原因
- 糖尿病(甘酸っぱいアセトン臭)
- 肝機能障害(肝臭)
- 腎不全(アンモニア臭)
- 胃食道逆流症(酸っぱい臭い)
◆ 病的口臭の対処法
- 歯周病:専門的な歯周治療を行います
- 舌苔:毎日の舌清掃をおすすめします
- 虫歯:根管治療や詰め物・被せ物の処置
- 入れ歯:ご自宅での洗浄に加え、必要に応じて調整や再製作も
- 副鼻腔炎:耳鼻咽喉科への紹介を行います
- 全身疾患:内科など他の専門医との連携が必要です
砂町北歯科では、他科とも連携しながら、原因に合わせた適切な治療をご提案しています。
2-3. 心因性の口臭(口臭症)
実際には臭っていなくても、「自分の口臭がひどいのでは」と強く思い込んでしまう方もいらっしゃいます。
- 自己臭症:他人にはわからないレベルでも強く気にしてしまう
- 妄想性障害:においが原因で人から避けられていると思い込む
- 病的口臭症:実際に臭いがあるが、それ以上に悩みが深い
このようなケースでは、歯科治療に加え、心療内科などのサポートが効果的なこともあります。
3. 本当に口臭がある人と、そう思い込んでいる人
「におっている気がする」「周囲が避けている気がする」といった不安から、自分で深く悩んでしまうこともあります。客観的な検査と、心のケアが重要です。
4. 検査と治療の流れ
- 問診(生活習慣・心理面・病歴の確認)
- 口臭測定(においの官能検査や機器による数値測定)
- 原因の特定(歯科・耳鼻科・内科など)
- 治療とサポート(必要に応じて多職種で連携)
5. まとめ〜不安を抱える方へ〜
口臭は誰にでも起こる身近な悩みですが、中には病気や心の問題が関係していることもあります。まずは一人で悩まず、正しい情報を得ることが大切です。
砂町北歯科では、歯周病や生理的口臭のケアを中心に、患者様一人ひとりに合ったアドバイスと治療を行っております。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献:
Tsunoda M, et al. (2013). 口臭への対応と口臭症治療. におい・かおり環境学会誌, 44(4): 230–237.