もはや国民病?気づかないうちに進行する「サイレントキラー」
「自分はまだ若いから大丈夫」「歯の健康には自信がある」そう思っていませんか?
実は、歯周病は決して他人事ではありません。日本で行われた調査では、成人の多くが、程度の差こそあれ歯周病にかかっているというデータも出ており、まさに「国民病」ともいえる非常に身近な病気なのです。
しかし、本当に怖いのは、初期段階では痛みなどの自覚症状がほとんどないことです。そのため、静かに症状が進行しているケースが多く、「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれています。
この記事では、手遅れになる前に歯周病のサインに気づき、大切な歯を守るためのポイントを解説します。
Ⅰ. これだけは知っておきたい!歯周病のサイン【セルフチェックリスト】
歯周病は、お口の中の細菌(プラーク)が原因で起こります。以下のリストに一つでも当てはまるものがあれば、歯周病が始まっている、あるいは進行しているサインかもしれません。
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□ 歯みがきをすると血が出る
歯ブラシやフロスに血がつくのは、歯ぐきが炎症を起こしている最初のサインです。特に喫煙されている方は血が出にくく、症状を見逃しやすいので注意が必要です。 -
□ 歯ぐきが赤く腫れている、ブヨブヨする
健康な歯ぐきは引き締まったきれいなピンク色です。赤く腫れていたり、触るとブヨブヨと弾力がない場合は、歯周病が疑われます。 -
□ 口の臭いが気になるようになった
歯周病菌は、不快な臭いのガスを発生させます。丁寧に歯みがきをしても口臭が消えない場合、歯周病が原因かもしれません。 -
□ 歯ぐきから膿(うみ)が出る
歯と歯ぐきの溝(歯周ポケット)に膿が溜まっているサインです。指で歯ぐきを押したときに、白い膿が出てきたら、症状が進んでいる可能性があります。 -
□ 歯がグラグラする
歯を支えている骨が溶かされると、歯が不安定になりグラグラと揺れるようになります。これは、歯周病がかなり進行している危険なサインです。 -
□ 歯が長くなったように見える、冷たいものがしみる
歯周病で歯ぐきが下がると(歯肉退縮)、歯の根っこ部分が露出します。これにより、歯が以前より長く見えたり、冷たいものがしみる「知覚過敏」の症状が出たりします。 -
□ 歯並びが変わった、食べ物が挟まりやすくなった
歯を支える骨が弱くなることで歯が動き、以前はなかった隙間ができたり、噛み合わせに違和感が出たりすることがあります。
Ⅱ. なぜ「手遅れ」になる前の発見が大切なの?
歯周病は、なぜ早期発見・早期治療がそれほど重要なのでしょうか。それには3つの大きな理由があります。
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・失った骨は元に戻りにくいから
歯周病で一度溶かされてしまった歯を支える骨は、残念ながら自然に元通りになることはほとんどありません。特別な再生治療もありますが、誰もが受けられるわけではなく、回復にも限界があります。 -
・お口だけでなく全身の健康にも影響するから
歯周病はお口の中だけの問題ではありません。歯周病菌が血管を通って全身に広がると、糖尿病や心臓病、脳梗塞、誤嚥性肺炎など、さまざまな病気を引き起こしたり、悪化させたりすることが分かっています。 -
・早く見つければ治療の負担が少ないから
早期の段階であれば、歯石やプラークを取り除く基本的な治療で改善することがほとんどです。しかし、進行してしまうと、外科的な手術が必要になるなど、治療が大掛かりになり、時間も費用もかかってしまいます。
Ⅲ. 「もしかして…」と思ったら。すぐに歯科医院へ
ご紹介した症状が一つでも当てはまる方は、迷わず歯科医院を受診してください。
また、今は特に症状がないという方も安心はできません。 これだけ多くの人がかかっている病気だからこそ、誰にとっても定期的なチェックは不可欠です。歯科医院では、専門家があなたの歯ぐきの状態をしっかりチェックし、ご家庭の歯みがきでは取り除けない歯石やバイオフィルムをきれいにクリーニングします。
特にご高齢の方や持病をお持ちの方は歯周病のリスクが高いため、かかりつけの歯科医師と連携し、お口の健康を管理していくことが非常に重要です。
まとめ:小さなサインを見逃さず、お口と体の健康を守りましょう
歯周病は、多くの成人が抱える「国民病」でありながら、その怖さはあまり知られていません。自覚症状が出にくいからこそ、日頃からご自身のお口の中に関心を持つことが大切です。
小さな変化も見逃さず、気になることがあればすぐに歯科医師に相談する。そして、定期的なプロのケアを受ける。この2つを習慣にすることで、歯周病の進行を防ぎ、あなたの大切な歯と体の健康を未来まで守っていきましょう。
砂町北歯科では小児から成人まで包括的なアプローチで治療を行っております。特に成人の歯周病治療には力を入れていますので、お気軽にご相談いただけると幸いです。