こんにちは。砂町北歯科です。
お子さんの食事の様子を見て、「食べるのに時間がかかる」「よく食べこぼす」「お口を閉じて噛んでいない」と感じたり、普段からお口が「ポカン」と開いている(お口ポカン)のが気になったりすることはありませんか?
もしかしたら、それは「口腔機能発達不全症」という状態のサインかもしれません。
これは、お子さんの「食べる機能」や「話す機能」が、年齢に応じて十分に発達していない状態を指します 。決してめずらしいことではなく、専門的な指導やトレーニングで改善できることがほとんどです。
今回は、この「口腔機能発達不全症」について、ご家族にも知っていただきたい大切なポイントをご紹介します。
どんな症状? お子さんに見られるサイン
この症状の難しいところは、お子さん自身があまり不便を自覚していない(自覚症状があまりない)ことが多い点です。ご家族が「あれ?」と思う小さなサインに気づくことが大切です。
【食べる機能のサイン】
* 食事中に食べこぼしが多い
* 食べるのが極端に早い(丸飲み)、または遅い(1分以上かかる)
* クチャクチャと音を立てて食べる
* いつまでも口の中に食べ物が残っている
* 水分やお茶で食べ物を流し込むようにして食べる
* 飲み込むときに、舌が歯の間から出てくる(異常嚥下癖)
* 硬いものを食べたがらない、偏食がある
【話す機能のサイン】
* 発音がはっきりしない
* 特定の音(例:「サ」「タ」「カ」「ラ」行など)が言いにくい
【その他のサイン】
* いつもお口が「ポカン」と開いている(口呼吸)
* 寝ているときにいびきをかく
* 指しゃぶりや舌を出す癖がなかなか抜けない
* 姿勢が悪い
これらのサインが複数当てはまる場合、お口の筋肉のバランスや使い方がうまく育っていない可能性があります。
歯医者さんでは何をするの?
「お口の機能」の問題で歯医者さん?と驚かれるかもしれません。当院では、虫歯の治療だけでなく、お子さんのお口の「正常な発達(ハビリテーション)」をサポートすることも大切な役割だと考えています 。
もし「口腔機能発達不全症」が疑われる場合、以下のような検査や評価を行います。
1. 問診とチェックリスト
まずは保護者の方に、ご家庭での様子(食事、話し方、癖など)を詳しくお伺いします 。
2. お口の状態の確認
歯並びやあごの形、舌のヒモ(舌小帯)の状態などを目で見て確認します 。
3. 専門的な検査(痛くありません)
口唇閉鎖力検査: 「りっぷるくん」などの専用の機械を使い、唇を閉じる力がどれくらいあるかを測定します 。
舌圧検査: 舌で風船のような器具を押しつぶし、舌の力を測定します 。
4. 写真撮影
お顔やお口周りの写真を撮り、経過を記録します 。筋肉の使い方が変わるとお顔つきも変わるため、ご家族のモチベーションにもつながります 。
どうやって改善するの?(指導・訓練)
検査結果をもとに、お子さん一人ひとりに合わせた「管理計画」を立てます 。
STEP 1: 医科的な問題の確認
[cite_start]もし口呼吸の原因が鼻づまりやアデノイド(扁桃)の肥大など、耳鼻科領域の問題にある場合は、まず専門のお医者さんを紹介します 。
STEP 2: 歯科での指導・訓練
歯科医院での指導と、ご家庭でのトレーニングを組み合わせて行います 。
お口の筋肉トレーニング (MFT)
舌を正しい位置(スポット)に置く練習や、舌を上あごに吸い付けて「ポン!」と音を出す練習(ポッピング)など、お口周りの筋肉をバランスよく鍛えるトレーニングです 。
口唇のトレーニング
専用の器具(りっぷるとれーなー等)を使ったり、ボタンと糸を使った訓練(ボタンプル)などで、お口を閉じる力を鍛えます。
食事の指導
「しっかり噛むこと」の大切さを伝え、流し食べの改善などを指導します 。
癖の指導
指しゃぶりや舌突出癖などを改善するためのアドバイスを行います 。
ご家族と二人三脚で
「口腔機能発達不全症」の管理は、すぐに結果が出るものではありません。定期的(3ヶ月に1回など)に検査や指導を行い 、お子さんの成長を見守りながら継続していくことが非常に重要です 。
ご家庭での毎日の練習が、お子さんの将来の健康な「食べる」「話す」機能につながっていきます。私たちも全力でサポートしますので、ご家族と二人三脚で取り組んでいきましょう。
お子さんの様子で少しでも気になることがあれば、「まだ小さいから」と様子を見る前に、ぜひ一度お気軽にご相談ください。










