はじめに
歯周病の治療は長い期間にわたることもあり、場合によっては数年かかることもあります。
痛みや不快感、そして通院の時間……。手術などの多くの努力を重ねて、やっと歯茎の状態が落ち着きましたね。「これでやっと歯医者通いから解放される!」とホッとされている方も多いのではないでしょうか。
でも、ここで少しだけ耳を傾けてください。
実は、歯周病治療において、治療終了は「ゴール」ではなく、「健康な状態を維持するためのスタートライン」なのです。
今日は、専門用語でSPT(エスピーティー:Supportive Periodontal Therapy)と呼ばれる、治療後のメンテナンスがなぜそれほど重要なのか、科学的なデータをもとにお話しします。
なぜメンテナンスが必要なのか?
「痛くないのに、なぜ通わないといけないの?」
そう思うのは当然です。しかし、歯周病は「静かなる病気(サイレント・ディジーズ)」と呼ばれ、自覚症状がないまま進行し、再発しやすい特徴があります。
ここで、2つの医学的根拠をご紹介します。
1. 歯を失わないための「保険」です
ある研究によると、治療後に適切なメンテナンス(SPT)を受け続けた患者さんは、そうでない患者さんに比べて、長期間にわたり歯を失うリスクが圧倒的に低いことがわかっています。メンテナンスは、単なるお掃除ではなく「将来の歯の喪失を防ぐための最強の予防策」なのです。
2. 専門家の目による「監視」が必要です
また、別の研では、SPTが歯周病の再発を早期に発見・診断し、予防する上で不可欠な役割を果たしていると報告されています。
歯周病菌は、どんなに歯磨きが上手な方でも、時間が経てば少しずつ増えていきます。ご自身では見えない・届かない場所(歯周ポケットの奥など)の変化を、私たちがプロの目と器具でチェックし、リセットする必要があるのです。
メンテナンスの頻度はどれくらい?
よく「3ヶ月に1回」という言葉を耳にしませんか?
確かに3ヶ月は一つの目安ですが、実はすべての方に当てはまるわけではありません。
あなただけの「オーダーメイド」な期間
最新の研究では、個人のリスク評価に基づいた頻度の設定が重要だとされています。
例えば:
喫煙の有無
糖尿病などの全身疾患の有無
過去の歯周病の進行度
ご自宅でのセルフケアの状況
これらを総合的に判断し、「毎月の方」もいれば「半年に1回の方」もいます。砂町北歯科では、担当衛生士制を設定しており、あなたのお口のリスクに合わせて、最も効率よく健康を守れるベストなタイミングをご提案しています。
継続することの大切さ
「忙しくて予約をキャンセルしてしまった……行きづらいな」
そんな風に思って、足が遠のいてしまうこともあるかもしれません。でも、そこで来なくなって諦めないでください。
通い続けることが、ご自身の未来のお口の健康結果を変えます。
患者さんの通院状況と治療結果を調査した研究では、メンテナンス(SPT)を途中でやめてしまったり、不規則な通院になったりした患者さんは、歯周病が悪化しやすかったというデータがあります。
逆に言えば、「定期的に通い続けること」こそが、これまでの治療の成果を無駄にしない唯一の方法です。もし期間が空いてしまっても、私たちは責めたりしません。「また来てくれてよかった!」と歓迎しますので、安心して戻ってきてください。
砂町北歯科の最大の武器はエビデンスベースでの正しい処置を行いできるだけ治療にならないようにすることを大切にしています。
まとめ
歯周病治療後のメンテナンス(SPT)は、美容院で髪を整えるのと同じように、生活の一部として取り入れていただきたい習慣です。
- 科学的に証明された「歯を守る効果」があること
- あなたに合ったペースで無理なく続けられること
これらを知っていただければ、通院も少し前向きなものになるのではないでしょうか。
あなたの歯を守るパートナーとして、砂町北歯科はこれからも全力でサポートします。一生、美味しい食事と楽しい会話を楽しめるように、一緒に頑張りましょう!
東京都江東区にある砂町北歯科は北砂のみならず、東陽町、門前仲町などからも来院していただいております。遠方だと岩手から来ていただく患者様もいらっしゃいます。
本当にその治療が正しいのか、その対応で正しいのかなどでお伺いされる患者様も多くいらっしゃいます。
院長である私は可能な限り患者様に正しい治療を提供できるように努力しています。お気軽にご相談ください。
参考文献 (References)
What periodontal recall interval is supported by evidence?
- PMID: 32844410
-
Maintenance visit regularity has a different impact on periodontitis-related tooth loss depending on patient staging and grading
- PMID: 33998024
-
See you in three months! The rationale for the three monthly periodontal recall interval: a risk based approach
- PMID: 22015520
-
Risk factors for recurrence of periodontal disease in patients in maintenance care in a private practice
- PMID: 31271667










