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2025.02.08

歯周病は本当に怖い病気です

 

先日2/3に東京大学などの研究によりリリースされた論文ですが、題名は歯周病による炎症老化が多臓器脆弱性を増強するというタイトルです。
細かい方法などの部分は省きますが、結果から言いますと、歯周病により老化が進行し、骨、筋肉、認知機能などが衰えるというものでした。下に結果のサマリーを載せておきます。
結果 (Results)
1.歯周病は全身性炎症を誘導:
 血清中の炎症性サイトカイン(IL-1β, TNF-α, IFN-γ)が増加

2.遅筋の選択的障害:
 ・scRNA-seq解析により、遅筋線維が減少
 ・ヒラメ筋の横断面積が縮小し、ロタロッド試験成績が低下

3.骨密度の低下:
 ・大腿骨の骨密度が有意に低下(3か月の短期間でも影響あり)
 ・骨吸収マーカー(CTX、TRACP-5b)が増加

4.認知機能障害:
 ・Barnes迷路試験で学習能力の低下
 ・海馬の活性化ミクログリア増加、神経新生(DCX陽性細胞)減少

5.歯周病治療の効果:
 ・骨吸収マーカーの悪化を抑制
 ・しかし、大腿骨の骨密度は回復せず
考察 (Discussion)

・多臓器に影響を及ぼすフレイルの新たなメカニズム:

 これまで単一臓器に着目した研究が多かったが、本研究は歯周病が筋肉、骨、脳の機能低下を引き起こすことを示した。

 

・早期介入の重要性:

 軽度の歯周病でも短期間で骨密度が低下するため、早期の歯科介入が必要である。

 

・歯周病と認知症の関係:

本研究ではPg菌(Porphyromonas gingivalis)による海馬の炎症が確認されたが、AD患者脳におけるPg菌由来の毒性タンパク質蓄積との関連については今後の研究が必要である。

 

・遅筋の選択的障害とダイナペニア:

速筋よりも遅筋が先に障害を受けることが確認され、これはサルコペニア発症の前段階である可能性がある。

 

歯周病は本当に怖い病気です。最低でも国民の50%を超えるその罹患率の高さの割にあまり危機意識を持たれない病気ですが、知れば知るほど恐ろしい病だと思います。

院長である私はトップレベルの勉強会にも参加し治療の方法を多く学んでいますが、実際にはやはりならないに越したことはありません。

そうなるとそもそもの生活習慣や免疫力という話に行き着くのですが、その辺は前回のブログを参考にお願いします。

プロバイオティクスも実は大きく関係しています。

院長

下田隆司
下田隆司

砂町銀座の通りにある歯科医院のブログです。
砂町北歯科院長として日々多くの患者さまのニーズやお悩みにお応えしています。
セカンドオピニオンにも対応しています。お口のお悩みなら砂町北歯科へお気軽にご相談ください。