エムドゲインを用いた歯周再生治療
エムドゲイン ~歯の発生時と同じ環境を作り歯周組織を再生する治療法~
歯周病が進行すると、歯肉や歯槽骨などの歯周組織が破壊されてしまいます。
歯周病治療により、進行を止め、歯肉の状態を改善する事は可能ですが、一度失われた組織を元の状態に戻すことはできません。
つまり、歯周病治療が成功すると、歯肉の腫れや出血はなくなりますが、一度減った骨は再生しませんので、進行した歯周病では、歯はぐらぐらのままの事があります。
しかし、歯周組織再生治療により、骨を含む歯周組織の再生が可能な場合があります。
歯周組織再生療法「エムドゲイン」とは?
エムドゲインとは、エナメルマトリックスという豚の歯杯組織から抽出したタンパク質であり、これを歯周病治療に応用する事で、歯が発生する時と同じ環境を作り出し、歯周組織を再生できる薬剤です。
エムドゲインは、スウェーデンで開発され製品化されています。
エムドゲインで得られる効果
歯周組織が再生することによって、次のような効果が得られます。
- 歯周ポケットが改善される
- 歯槽骨が再生される(歯の動揺を改善できる)
エムドゲインの適応症
歯周病の全てのケースでエムドゲインによる再生療法が適応となるわけではありません。エムドゲインによる再生療法が適応となるのは、歯の周りの骨が全周吸収された症例ではなく、部分的に吸収された症例でなければなりません。
すなわち、骨吸収の形態が垂直的な場合は適応となり、歯の周囲全て(360度)の骨が水平的に吸収されているようなケースでは、適応となりません。
エムドゲインによる再生療法の流れ
1. 歯周ポケットの深さを測定します
初期治療後、ポケットが6mm以上、レントゲン写真で4mm以上の垂直性欠損で、エムドゲインによる再生療法が主に用いられます。
2. 歯肉を切開します
局所麻酔をして歯肉を切開し、歯根を露出します。
3. 歯根表面の汚れを徹底的に除去します
歯根表面の歯石を除去し、エムドゲインを塗布する箇所の汚れを徹底的に取り除きます。
4. エムドゲインを塗布します
血液や唾液が付いていない状態でエムドゲインを塗布します。
5. 歯肉を戻して縫合します
歯肉弁を元の位置に縫合します。
抜糸は術後約2週間後に行います。
治癒期間の注意点
術後は、手術部位を清潔にし、刺激を与えないようにする必要があります。術後しばらくは歯ブラシ・歯間ブラシを当てず、うがい薬を使用します(術後の口腔清掃については歯科医師から指示があります)。
喫煙は血行を悪くし、治癒が遅れるのみでなく、治療の効果が薄れるので、禁煙した方がよいでしょう。 また、治療部位を安静にするため、硬い物を咬むのは控えた方がよいでしょう。
エムドゲインの安全性
エムドゲインの使用による副作用の報告はありません。
エムドゲインの費用
エムドゲインは保険が適用となりませんので、自由診療になります。